贈り物上手
【夏季】ご配送時の温度管理について
ここ数年の夏季は、殊更に厳しい暑さが続きます。
ご配送でお菓子をお取り寄せをいただく折に
「クール宅急便で送った方が良いのでは?」というご相談を
いただく機会も、増えてまいりました。
四季の環境変化を踏まえた上で
より美味しく、より安全にお品をお届けするにはどうすれば良いのか。
我々も日々研究を重ねておりますが、現時点での最適解といたしましては
「常温便をつかい、ご配送すること」
「宅配ボックスでの保管はせず、再配達を極力避けて一度でお受取いただくこと」
「受領時の段ボールに温かさを感じる場合は、室温にゆっくり戻したうえでご賞味いただくこと」
上記のようにご案内しております。
1:異なる「温度帯」を何度も通過させると、和菓子には大きな負担となる
我々人間と同様に、和菓子も「老化」いたします。
和菓子でいう「老化」とは、急激な味の劣化がもたらされること。
この老化に最も影響を及ぼす因子としては、「温度帯」をまたぐことによる
「水分」と「温度」の急激な変化であると研究されています。
クール便を使用することで、【製造(常温)】→【運搬(クール便)】→【お届け(常温)】と
「30度前後」の温度帯の変化を「二回」またがせることは、商品の劣化につながります。
2:輸送実験の結果、常温輸送の安全性を確認している
茜庵では定期的に 酷暑配送便の官能検査を行なっております。
具体的には、以下の二種の実験を行い、定期的な確認作業を行なっています。
1:お客様宅へのお届けと「同条件」での官能検査
ヤマト運輸便で関東以北にお届けを行ない、現地にて風味の確認を行う。
2:「より厳しい条件」での官能検査
上記お届け先より返送手続きを行い、茜庵本店にて風味の確認を行う。
上記実験をもちましても、常温配達における風味劣化は現時点では確認できませんでした。
夏場にお客さまより追加料金をいただき「クール宅急便」にてお届けするということ。
そうした方が一見は 安全で美味しそうに思えます。
ですが、科学的な根拠と官能検査の結果を踏まえますと、
現時点では クール便でのお届けのほうが、より和菓子への負担が大きいと捉えています。
追加料金をいただいてクール便でお送りしたことで、
かえって劣化した商品をお届けしてしまうというのは、あまりに心苦しいこと。
かといってここ数年の急激な気温上昇は、目をみはるもの。お客様のご不安も当然のことだと思います。
これが正解とは決めつけず、科学的な根拠と運送実験を繰り返しながら
お客さまに安全で美味しい商品をお届けするために、令和の菓子屋も引き続き努力してまいります。