
お茶の時間
神無月(10月)のお菓子:秋夕焼(あきゆやけ)
十月のお菓子の銘「秋夕焼(あきゆやけ)」
神無月の喫茶に、ようこそ。

風が、秋ですね。

お茶の世界では、10月は「名残(なごり)の月」と呼ばれます。
今月のお菓子とお道具には、この時期ならではの華やぎのなかにも、少し寂びた美しさを留め置いて。

秋の夕暮れは、短い時間ではあるけれども、ことさらに美しい。
西の空がゆったりと茜色に染まり、川面が深くゆらぎながら夜に向かう姿は、ため息がでるほどの情景。
季節の栗を、滋味深く、とりあわせました。
十月の本席(奥の八畳の茶室)のしつらい

11月には「炉開き」といって、湯をわかす釜の形がかわる時期。
そのため十月には今まで頑張ってくれた、春・夏の釜である「風炉」を中央において、また春にあおうねと名残をおしみます。

なごりの月には、少し、寂びた(華やかの逆)雰囲気の茶道具を使います。
どこか もの淋しい雰囲気を出すのが、wabi-sabi。
ですので お茶椀は、あえての金継ぎ。

割れて欠けた道具に 新しい価値を見出すという、寂の美。

水差しも 線が細く、シンプルなもの。

香合は、秋の花をあしらった三日月。こちらも、ほっそり。
立礼席のしつらい
「立礼席(りゅうれいせき)」とは、椅子とテーブルの茶室。
茜庵本店で喫茶をご利用のお客様には、こちらのスペースでお菓子をお楽しみいただきます。

月夜の海女の漁をうたったお軸に、釣船の花入。ゆらぐ影をうつして、コーディネート。

四季折々の草花が描かれた こちらの水差しも、金継ぎを施したもの。

欠けをつくろい、割れを継ぐー 慈しみの美がことさらに愛おしい、10月は、そんな季節です。

室礼(しつらい)とは、和のコーディネート遊びのようなもの。
リラックスしてお菓子を召し上がっていただけるだけで何よりですが、室礼の遊び心まで覗き見ていただくと、ちょっとお楽しみが増えるかもしれません。
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